バージョンアップ
[2015年05月12日]
開業してから、院内の医療機器がどんどんバージョンアップされてきています。
飼い主様のニーズに応えるため、検査や治療のオプションを充実させるために必要
に迫られて買い足してきたのですが、気がついたらそこそこ揃ってきました。
当院のホームページには、あえて医療機器の紹介はのせていません。
個人的になんとなく子供のおもちゃ自慢みたいで嫌だというのが理由なのですが…。
ただ最近たまたま飼い主様に医療機器のことを聞かれることがありました。
最近はインターネットもあり、来院前に症状や検査、治療について前もって調べて
こられる熱心な飼い主様もいらっしゃいます。 我が子のためにという気持ちからだと
思うのですが頭の下がる思いがします。
機械の紹介というよりも、当院で行える検査や処置のことを知ってもらうために一応
紹介しておいたほうがいいのかと思い、当院での取り組みや考えも含めこれからブログで
少しずつご紹介させていただこうかと思っています。
ちなみに今回問い合わせのあった内容は眼圧計ありますか?どの眼圧計ですか?というもの
でした。ということで、まずは眼圧計のお話からしてみたいと思います。
眼圧計は、眼科疾患の中でも緑内障やぶどう膜炎の緊急疾患の診断には不可欠なものです。
白目が赤いという主訴で患者が来院した場合、素人的には結膜炎?と安易に考えがちです
が、この場合鑑別疾患がいくつかあり診断のためには眼圧計が不可欠となります。
以前参加した眼科のセミナーでは講師の先生が眼圧計のない場合、結膜炎の診断はしてはい
けませんと断言しておりました。確かに緑内障では初期治療が重要なため、見逃してとりあえずの
結膜炎治療によって病状が進行し、視力を失ってしまうというリスクもあります。
ただ高価な医療機器なのですべての動物病院にあるというものではないかもしれません。
獣医領域で使用される眼圧計には主にTONOVETとTONOPENという2種類あるのですが
それぞれにメリット、デメリットがあります。
TONOVETのメリットは、キャリブレーション(測定前の準備)や点眼麻酔が必要なく
測定できるので動物への負担が軽くなることとデータが安定しているということがあげら
れます。デメリットは猫でデータが不安定になることがあるということと技術的な点ですが
眼圧計を水平に保って測定しなければいけないということがあります。
もう1つはTONOPENという眼圧計ですが、こちらはキャリブレーション(現在はいらない
機種もあります)、点眼麻酔が必要で測定までに時間がかかるというデメリットがありますが、
さまざまな角度で測定が可能というメリットがあります。
一番よいのは2種類の眼圧計をもつことなのですが、当院ではTONOVETという眼圧計を
使用しています。いろいろ悩みましたが、参加した眼科セミナーではTONOVETをすすめる
講師が多かったのもありこちらに決めました。値段はTONOVETのほうが倍以上高いのですが
奮発しました…
ちなみに勤務医時代はTONOPENを使用していましたが、今思うと測定するまでに準備やら
何かと面倒くさかったなと思います。
使用して2年以上経ちますがとても使い勝手もよく、機械を準備して測定するまでの手間
がかからないので重宝しています。また、点眼麻酔をしないで済むので、涙量検査などの他の
眼科検査に影響しないのもよい点です。
わんにゃんドックのオプションにも眼圧検査がありますので、気になる方はスタッフまで
お問い合わせください。