理想
[2017年11月11日]
先週、おもしろい記事を目にしました。
”若手よ 地方で学べ!ベテラン開業医が技伝授”というタイトルでした。
医師不足に悩む地方の医師会が若手の医者を呼び込むために独自の研修を行なうと
いった内容で、島根県の益田市医師会の”親父の背中プログラム”が紹介されていました。
おもしろいネーミングですよね。
大病院での研修では難しい、家庭医としてのスキルアップを提供することを売りに
若手医師をよびこもうということらしいです。地域医療の危機が叫ばれている今、
現状打破を狙ったおもしろい試みだと感心して読ませてもらいました。
だいぶ前から言われているので、皆さんもご存知かもしれませんが、医療は専門化
がすすみ、特定の臓器別、疾患別に細分化されてきたため、自分の専門以外の病気
を見れない医師が増えてきていることが問題視されていました。
そこで、特定の臓器に視点をおくのではなく、病気を一個人として心理的、身体的の
両面から見ることが大事ではないかということで、専門にこだわらず幅広い視野で
診断する総合診療医や予防から介護、みとりまで対応するかかりつけ医として家庭医
という立場の重要性が言われるようになってきています。
欧米では以前から医療制度の中に各専門医に肩を並べて、総合医や家庭医も同じ
ように組み込まれていたそうですが、日本でもやっと来年度から”総合診療医”の
専門制度が始まるみたいです。
とても良いことですよね。臓器別専門医、総合診療医、どちらの存在も必要だと
思います。
それぞれ守備範囲が異なりますが、それぞれがプロフェッショナルとしてお互いに
補完しながら機能したら、患者にとってこれほど心強いことはないのではないかと
思います。
獣医療の世界でも、われわれのようなホームドクターから大学病院のようなMRIや
放射線治療装置などのような高額な装置を使いこなして難しい病気の診断、治療を
行なえる施設まで様々ありますが、ここ数年で1次診療と2次診療の棲み分けが
されつつあります。
1次診療でしかできないこと、2次診療でしかできないことがそれぞれありますが、
獣医療の世界でもお互いがプロフェッショナルとして機能し合えば、獣医療の発展に
何かしらのメリットがあるのだと思います。
私も開業して6年になりました。私的には試行錯誤の6年間でしたが、獣医師として
はもちろん経営者として社会人としていろいろと勉強となることばかりでした。
この6年間、いろんな経験をしたり、いろんな人との出会いがありました。
尊敬できる先生とも出会うことができました。その先生からの影響が大きいですが
特にここ1,2年で私の中でパラダイムシフトが起き、いろんな考え方が変わって
きました。私にしかできないことってなんだろうと自問自答しながらの毎日
ですが、勉強していると今まで見えていなかったことが見えてきたり自分の立ち位置
や1次診療としてホームドクターというものの重要性やおもしろさも見えてきた気が
します。
まだまだ道半ばですが、これからも日々精進してがんばっていこうと思います。