麻薬
[2017年11月04日]
今年は、台風だらけでしたね。出張のたびに冷や冷やものでしたが、何とか
影響を免れることができました。時期的にはもう大丈夫だとは思うのですが
今月は2回飛行機なのでもうこれ以上台風が来ないことを祈っています。
話は変わりますが、テレビをみていると芸能人の麻薬、覚せい剤使用で逮捕という
ニュースをよく見かけます。
地方の鹿児島でも、元小学校教諭が覚せい剤使用の容疑で再逮捕とか遊漁船の
名物船長が覚せい剤100キロを運搬にて逮捕などニュースで言ってました。
今や芸能界や都会だけの問題ではなくなってきているのでしょうか。怖いですね。
一般的に麻薬というとなんとなくマイナスイメージの言葉ですが、医療業界でも
麻薬という言葉をよく使います。治療で用いる医療用麻薬です。
先日、保健所に麻薬施用者の免許更新に行ってきました。毎年なのでちょっと
面倒くさいんですけどね。。。健康診断書を病院で受診して書いてもらったり麻薬の
使用状況記録をもっていったりしなきゃいけませんが、その手間を考えても手術で
麻酔を行う上で、麻薬を用いるメリットは十分あります。
疼痛管理においては、モルヒネやフェンタニル、レミフェンタニルといった麻薬性
オピオイドやNMDA受容体拮抗薬で解離性麻酔薬とも言われるケタミンは非常に
よい仕事をしてくれます。
これらの薬を使わずに手術をしろと言われたらほんと困っちゃうと思います。。
神経ブロックや硬膜外麻酔などの手技を駆使すればなんとか麻薬を使わないで
疼痛管理をすることも可能ですが、手術部位がある程度限定されてしまいます。
やっぱり麻薬があったほうが心強いですね、私的には。
正直、これらの薬がないと私は仕事ができません。手放せないですね。
そういった意味で言うと私も麻薬中毒者?なのでしょうか
それくらい、とても鎮痛効果に優れた薬たちです。
人医療分野では疼痛管理の重要性は当たり前で、バランス麻酔の概念に基づいた
安定した麻酔管理が行われています。
動物病院においても、麻酔や鎮静処置はほぼ日常的に行なわれていますが、
その方法は各動物病院によって様々です。
皆さん、麻酔なんてどの動物病院でも同じじゃないのって思っていませんか?
特に麻酔管理は、その病院の先生の経験や知識、技術によって雲泥の差がでます。
獣医麻酔には、ゴールドスタンダードやガイドライン的なものは存在しませんから、
知識や技術のアップデートを怠るとずーっと昔のままの麻酔や代診時代の動物病院
でやっていた伝統的麻酔法の踏襲なんてざらにありえます。動物病院での手術や麻酔は
獣医療の中で最もガラパゴス化しやすいものの1つらしいです。恐ろしいものです。
正直、私自身開業してから今に至るまでに、使用する薬剤はじめ、モニタリング方法や
いろいろな手技を含めた麻酔管理は、その以前にやっていた方法からかなり変わりました。
そして勉強していくにつれ、使えるオプションが増えてきています。麻酔データの考え方も
だいぶ変わりました。麻酔の勉強をすればするほど基礎医学の重要性を身にしみて感じます。
麻酔管理は、臨床における生理学の集大成、まさに実践生理学じゃないかと思うくらいです。
学生時代はあまり好きではありませんでしたが、生理学の本を今更ながら引っ張り出して
呼吸生理学や循環生理学の勉強をしなおしています。
私は、自分の家族やペット、そして自分自身が麻酔をかけられるときにしてほしいと
思う麻酔を自分の患者にもしたいと思っています。
そのためには、やはり知識や技術のアップデートが常に必要だと思っています。
まだまだ私の麻酔管理には改善の余地があると感じてますので引き続き勉強が必要です。
現段階で人医療と同じレベルの麻酔管理を獣医療で行うことは不可能ですが、可能な限り
近づけていく努力を今後もしていきたいと思っています。