学会報告
[2012年04月15日]
なかなか、ブログの更新できず申し訳ありませんでした。
今回は、先月お休みをいただいて行かせていただいた”日本獣医皮膚科学会”の学会報告をさせていただきたいと思います。
今回の学会は免疫がキーワードで、基礎から臨床まで様々なお話が聞けました。その中でも、私が大変興味深く感じた疾患の講演の報告をさせていただきたいと思います。
”脂肪織炎”という病気を聞いたことがありますでしょうか?読んで字のごとく、脂肪組織で炎症を起こしてしまう皮膚病です。原因は様々で、細菌や真菌などの感染、免疫介在性疾患、膵疾患、血管炎、異物、外傷、特発性などがあります。
皮膚にしこりができ、あれよあれよという間にはじけてしまい、そこから膿が出てくることから、飼い主さんは、けがをしたと来院されることが多い皮膚病です。しかし、この病気は、膿は出ますが感染からの膿ではなく、無菌の膿が出ることが特徴です。先ほど挙げた原因の1つに”特発性”とありましたが、これは原因不明で突然起こるという意味で、この原因がとても多いです。原因はまだよくわかっていませんが、免疫抑制療法に反応します。
今回の講義で私が面白いなと感じたのが、この脂肪織炎の病因の推測として人で言われている”肥満と炎症”の関係をあげていたところです。人ではメタボリックシンドロームという言葉が一時期よくメディアを騒がせていましたよね。そのとき、内臓脂肪という言葉もよく出ていたと思います。この内臓脂肪について人の世界でいくつかのことがわかってきているそうです。
まず、肥大した脂肪細胞はマクロファージという免疫細胞を多く含むようになるそうです。このマクロファージはサイトカインという炎症を誘導する物質を放出します。また脂肪組織が沈着することにより、炎症の閾値が下がるそうです(炎症が起きやすくなる)。つまり、脂肪が蓄積することにより、慢性的な炎症状態となるらしいのです。さらに脂肪細胞へ刺激が加わると飽和脂肪酸が遊離され、マクロファージを活性化してしまい、炎症を惹起してしまうということらしいのです。
確かに私が見ていた脂肪織炎の仔たちは、太ってた仔が多かったような気がします。この皮膚病はお薬が切れないことも少なくはありません。今までは、治療として免疫抑制剤のお薬のみで抑えておりましたが、同時にダイエットをさせることにより、お薬の量も減らせるのではないかと考えさせられ非常に勉強になりました。それと最近メタボっ腹になってきた私にとってもダイエットをしなきゃな・・・と考えさせられるよい機会となりました(笑)